2023
07.25

限りなくゼロに近いアドブルー

MotoGP取材紀行

MotoGPの取材では、レンタカーを利用している。
サーキットまでの道のりや、レースウイーク中はサーキットを出られる時間が読めないことを考えると、レンタカーが便利なのだ。
異国の地でレンタカーを運転していると、日本では経験できないことがあるもの。というわけで、今回はレンタカーにまつわるエピソード。

コント化するウィンカー操作
日本では左車線通行、右ハンドルだが、今までMotoGPの取材で訪れた、ポルトガル、ドイツ、イタリア、スペイン、フランス、オランダは右車線通行、左ハンドルである。イギリスだけは日本と同じ左車線通行、右ハンドルだった。
右車線通行はあまり難しくはない。前のクルマについて走ればいいだけだから。
むしろ個人的に難しいのは、ウィンカーの操作なのだ。
わたしが今まで乗った左ハンドルのレンタカーでは、ウィンカーのレバーがことごとく日本車(あるいは日本仕様車?)と反対だった。つまり、右のレバーがワイパー、左のレバーがウィンカーという仕様なのである。
何が起こるか。
そう。
右折しようとしてはワイパーが動き、左折しようとレバーを操作すればまたまたワイパーが動く。
こればっかりは体に染み付いているから、どうにも切り替えが難しい。
右ハンドルのイギリスもここだけヨーロッパ仕様になっていて、右がワイパー、左がウィンカー。なんで……?
なんとか慣れてきたころ日本に戻れば、今度は日本で右左折のたびにワイパーが動く。再びコント化する、ワイパー。

※余裕をもってウィンカー操作しているので、右左折前にちゃんとウィンカーを出していますよ。念のため。

ラウンドアバウトに入るタイミング
日本でも言わずもがなだが、外国で交通事故なんぞもってのほかなので、運転にはいつも、ものすごく気を付けている。
特に苦手なのがラウンドアバウト(環状交差点)で、わたしには長縄跳びに思えて仕方ない。その昔、小学生の時分に長縄飛びで入るタイミングを逃し続け、流れを止めまくったわたしである。当たり前のように、ラウンドアバウト手前で躊躇するのであった。
おまけにとてつもなく三半規管が弱いので、自分で運転しているのにラウンドアバウトを回っていて酔うこともある。だから、ラウンドアバウトは基本的に、ゆっくり走っている。
ハイスピードで回って(走って)いくクルマのドライバーは、酔わないんだろうか。
ただ、慣れると信号のある交差点のように止まらずにすむので楽ちん。そう思えるくらいには、ラウンドアバウトに慣れてきたみたいだ。

限りなくゼロに近いアドブルー
そういえば、フランスGPの取材中はレンタカーのアドブルーが切れかかったこともあった。
アドブルーが必要なクルマに初めて乗った(あるいは、アドブルーが切れかかったのが初めてだっただけかもしれない)わたしは、グーグル先生に「クルマ屋さんでアドブルーを入れてもらう」と言われて「フランス語でクルマ屋さんの予約なんてできない!!」とすごく焦った。
……のだが、サーキットで諸先輩方に「ガソリンスタンドでアドブルーを購入できる」と教えてもらい、無事に解決。
結果的に、ル・マンのホテルの近くにあったカー用品店でアドブルーを購入して自分で入れた。
このときカー用品店のおにいさんに「ごめんなさい、わたしはフランス語が話せないんだけど、アドブルーというものがほしくて……」とどきどきしながら聞いたら「アドブルーね! こっちだよ」と笑顔で、英語で案内してくれた。
海外で何かに困るときの困りっぷりは日本とはまた違っていて、だからちょっとしたことを教えてもらったり、笑顔で対応してもらったりという、ほんの少しの親切が身に沁みる。
それにしても、レンタカーなのに、アドブルーは走り出し満タンじゃないんだなあ。
そう思うのは、わたしが日本のサービスに慣れすぎているからなんだろうか。

あわててカー用品店で買ったアドブルー。無事にレンタカーも返却できて一安心

今まで借りたことのあるレンタカーでいちばんコンパクトだったFIAT 500。オートマチック。ポルトガルGP取材の相棒になってくれた。もう一度乗ってみたいレンタカー

このブログはモータースポーツジャーナリスト伊藤英里が、MotoGPなどの海外レース取材のために訪れた先で出会ったいろいろなことを書いていくところです。
詳しくはこちらの「ABOUT」をご覧ください。
英語版はこちら。 English ver.
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